
相続した実家をどうするか迷ったら?相続空き家や実家空き家の選択肢を整理し相続した家の判断材料を解説
相続で親の実家を引き継いだものの、この空き家をどうするか決めきれずに時間だけが過ぎていないでしょうか。
相続した実家の主な選択肢は、「売却する」「賃貸や空き家活用をする」「将来のために保有する」の3つです。
今後住む予定がなく、固定資産税や管理の負担を減らしたい場合は売却、立地や建物の状態から賃貸需要が見込める場合は賃貸や空き家活用、将来自分や家族が住む可能性がある場合は保有が候補になります。
ただし、どの選択肢が適しているかは、実家への思い入れだけで決めるのではなく、建物の状態や立地、売却価格、賃料相場、修繕費、年間の維持費、将来の利用予定などを整理したうえで判断することが大切です。
また、相続した家を何もせず放置していると、固定資産税や保険料などの負担が続くだけでなく、建物の老朽化が進み、将来の売却や賃貸、空き家活用が難しくなる可能性もあります。
そこでこの記事では、相続した実家をどうするか迷っている方に向けて、最初に確認しておきたい相続登記や維持費、空き家を放置するリスクを整理したうえで、売却・賃貸・空き家活用・保有それぞれのメリットや注意点、判断基準についてわかりやすく解説します。
まずは現在の状況を整理し、「売る」「貸す・活用する」「持ち続ける」のどれが自分たちに合っているのかを比較しながら、後悔の少ない選択肢を考えていきましょう。
■相続した実家をどうする?主な選択肢を比較
相続した実家をどうするか判断する際は、「売却」「賃貸・空き家活用」「保有」のそれぞれについて、メリットだけでなく、維持費や管理負担、将来の利用予定まで比較することが大切です。
まずは、どのような場合にそれぞれの選択肢が向いているのかを整理してみましょう。
| 選択肢 | 向いているケース | 主なメリット | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 売却する | 今後住む予定がなく、管理負担をなくしたい | 現金化でき、固定資産税や管理の負担を減らせる | 売却価格や譲渡所得税、家族の意向を確認する必要がある |
| 賃貸・空き家活用する | 賃貸需要があり、建物を活用できる | 家賃収入を得られる可能性がある | 修繕費や空室、管理の負担がある |
| そのまま保有する | 将来自分や家族が住む可能性がある | 将来の利用方法を残しておける | 固定資産税や保険料、維持管理費が継続する |
| 解体して土地を活用・売却する | 建物の老朽化が進み、活用が難しい | 建物の管理負担や倒壊リスクを減らせる | 解体費用や固定資産税への影響を確認する必要がある |
相続した実家・空き家で最初に確認すべきこと
相続した実家を売却するか、賃貸や空き家活用をするか、そのまま保有するかを決める前に、まず現在の状況を整理することが大切です。
特に確認しておきたいのが、「相続登記と名義」「年間の維持費」「建物の状態と管理状況」です。
これらを確認しないまま判断すると、売却や賃貸を進めようとした段階で手続きに時間がかかったり、想定していなかった修繕費や維持費が発生したりすることがあります。
まずは相続した実家が現在どのような状態にあるのかを把握し、そのうえで今後の選択肢を比較していきましょう。

■相続登記と名義を確認する
親などから実家を相続した場合、最初に確認したいのが不動産の名義と相続人の状況です。
相続登記は2024年4月1日から義務化され、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請することが原則となっています。
また、2024年4月1日より前に発生した相続についても義務化の対象です。過去に相続したものの名義変更をしていない不動産については、原則として2027年3月31日までに相続登記を行う必要があります。
正当な理由なく相続登記の申請義務に違反した場合には、10万円以下の過料が科される可能性もあるため、「実家をどうするか決まってから登記すればよい」と考えず、早めに確認しておくことが大切です。
まずは登記事項証明書や遺言書、戸籍などを確認し、現在の登記名義人が誰なのか、相続人が何人いるのか、誰が不動産を取得するのかを整理しましょう。
特に注意したいのが、相続人が複数いる場合です。
相続した実家を複数の相続人で共有することになった場合、将来その不動産を売却したり、賃貸や空き家活用をしたりする際に、他の共有者との調整が必要になります。
例えば、実家全体を売却する場合には、原則として共有者全員の同意が必要です。また、賃貸や建物の改修、解体などについても、行為の内容によって必要となる同意や手続きが異なるため、1人の判断だけでは進められない場合があります。
「今すぐ使う予定がないから、とりあえず兄弟姉妹で共有しておく」とすると、将来さらに相続が発生して共有者が増え、売却や活用についての意思決定が複雑になる可能性もあります。
そのため、相続人が複数いる場合には、誰が実家を取得するのか、売却するのか、共有で保有するのかなどについて早い段階で話し合い、将来の管理や活用方法まで含めて整理しておくことが大切です。
■固定資産税など年間の維持費を確認する
相続した実家は、誰も住んでいなくても所有しているだけで一定の費用がかかります。
代表的なものが固定資産税・都市計画税で、毎年届く納税通知書を確認すれば現在の税負担を把握できます。
そのほかにも、火災保険や地震保険などの保険料、庭木や雑草の手入れ、定期的な清掃や点検、雨漏りや設備故障などに伴う修繕費が発生することがあります。
遠方にある実家の場合には、所有者自身が定期的に確認することが難しく、空き家管理サービスなどを利用する費用が必要になるケースもあります。
そのため、固定資産税だけを見るのではなく、実家を1年間保有すると実際にいくらかかるのかを一覧にしてみることが重要です。
例えば年間30万円の維持費がかかる空き家を5年間保有すれば、単純計算で150万円の負担になります。将来使う予定が明確でない場合には、こうした維持費と売却価格や賃貸した場合の収入を比較することで、売却・賃貸・保有のどれが適しているのか判断しやすくなります。
相続人が複数いる場合は、誰が固定資産税や管理費、修繕費を負担するのかについても、あらかじめ話し合っておきましょう。
■建物の状態と放置リスクを確認する
相続した実家を長期間使用していない場合には、建物や敷地の状態も確認しておく必要があります。
特に確認したいのは、屋根や外壁の劣化、雨漏り、給排水設備の状態、庭木や雑草の繁茂、塀や門扉の傾きなどです。
人が住まなくなった住宅は、換気や日常的な点検の機会が減るため、所有者が気付かないうちに劣化が進んでいることがあります。建物の状態が悪化すれば、将来売却や賃貸をしようとしても多額の修繕費が必要になり、活用できる選択肢が少なくなる可能性があります。
また、適切に管理されていない空き家は、「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づき、「管理不全空家」や「特定空家」として市区町村から指導や勧告を受ける可能性があります。
「管理不全空家」とは、適切な管理が行われておらず、そのまま放置すると「特定空家」になるおそれがある空き家です。倒壊などの危険性が著しく高まった段階だけでなく、その前の段階から行政による対応の対象となる点に注意が必要です。
さらに、管理不全空家や特定空家について市区町村から勧告を受けると、その敷地は固定資産税などの住宅用地特例の対象から外れます。住宅用地には通常、固定資産税の課税標準を軽減する特例が設けられているため、その適用がなくなることで土地の固定資産税負担が増える可能性があります。
そのため、「誰も住んでいないけれど、建物を残しておけば固定資産税を抑えられる」と考えて空き家を放置することは適切ではありません。将来利用する予定が決まっていない場合でも、定期的な点検や清掃、庭木や雑草の手入れ、必要な修繕などを行い、適切な状態を維持することが大切です。
さらに、老朽化した建物の外壁や屋根材、倒れかけた塀などによって近隣の建物や通行人に被害を与えた場合には、建物の管理状況などによって民法717条に基づく損害賠償責任が問題となることもあります。
雑草の繁茂や害虫の発生、不法投棄、悪臭などが近隣トラブルにつながることもあるため、すぐに売却や活用の方針を決められない場合でも、最低限の管理は継続することが大切です。
相続した実家をどうするか判断するためにも、まずは「名義」「年間コスト」「建物・管理状況」の3点を確認し、現在の状態を把握しておきましょう。
| 確認項目 | 主な内容 | 放置・未確認の場合の影響 |
|---|---|---|
| 名義と相続人 | 相続登記の有無・相続人・持分 | 売却や活用の手続き遅延、相続登記義務への対応が必要 |
| 年間コスト | 固定資産税・保険料・管理費・修繕費 | 維持費の負担が継続・増加する可能性 |
| 建物・管理状況 | 老朽化・雨漏り・雑草・塀などの状態 | 管理不全空家等への該当や近隣トラブルのリスク |
相続した実家を売却するメリット・デメリットと税金の注意点
相続した実家をどうするか悩んだとき、まず検討しやすいのが売却という選択肢です。
売却を選ぶと、維持管理の手間や固定資産税などの負担を早期に解消できる一方で、思い出のある住まいを手放すことになります。
また、売却によって利益が生じた場合には譲渡所得税がかかる可能性もあるため、「いくらで売れそうか」だけでなく、今後の維持費や売却にかかる費用、税金まで含めて比較することが大切です。
ここでは、相続した実家の売却が向いているケースと、売却前に確認しておきたい査定価格や維持費、代表的な税制上の特例である「相続空き家の3,000万円特別控除」について整理します。

■相続した実家の売却が向いているケース
相続した実家を売却した方がよい典型的なケースとしては、今後自分や家族が住む予定がない場合や、建物の老朽化が進み、維持管理や修繕の負担が大きくなっている場合などが挙げられます。
誰も住んでいない実家でも、所有している限り固定資産税や保険料、管理費などの支出は続きます。建物の状態によっては、雨漏りや外壁、屋根、給排水設備などの修繕費が必要になることもあります。
また、実家が遠方にあり定期的な管理が難しい場合や、相続人の中に将来住む予定の人がいない場合にも、売却は有力な選択肢になります。
空き家として長期間保有すると、維持費がかかるだけでなく、建物の老朽化や管理不全によるリスクも高まります。今後利用する予定がなく、管理を続けることが負担になっている場合には、売却して現金化することも検討してみましょう。
売却して不動産を現金化できれば、相続人同士で財産を分けやすくなるというメリットもあります。不動産のまま複数人で所有し続けると、将来売却や活用をする際に相続人間で調整が必要になることがあるため、将来の相続トラブルを予防するという点でも、早めに方向性を決めておくことが大切です。
その一方で、相続人の誰かが将来的に居住を希望している場合や、賃貸住宅などとして活用できる可能性がある場合には、売却だけでなく、保有や賃貸・空き家活用も含めて比較する必要があります。
■相続した実家の査定価格と維持費を比較する
相続した実家を売却するか迷っている場合は、まず現在どのくらいの価格で売却できそうなのかを把握することが大切です。
不動産会社などに査定を依頼して売却想定価格を確認したうえで、固定資産税や保険料、管理費、今後必要になりそうな修繕費など、実家を保有し続けた場合にかかる費用と比較してみましょう。
例えば、「いつか使うかもしれない」という理由だけで空き家を保有していても、毎年の維持費がかかり続ければ、その分だけ経済的な負担は大きくなります。
一方で、将来自分や家族が住む予定が明確にある場合や、賃貸住宅として一定の収益が見込める場合には、すぐに売却せず保有する選択肢も考えられます。
そのため、売却査定を受けることは、必ずしも「売却を決める」という意味ではありません。現在の不動産価値を把握することで、売却・賃貸・保有のどの方法が自分たちに適しているのかを比較するための判断材料になります。
また、査定価格だけで判断するのではなく、売却時に必要となる仲介手数料などの諸費用や、売却によって利益が生じた場合の譲渡所得税についても確認しておく必要があります。
相続した土地や建物を売却した場合の譲渡所得は、原則として売却金額から取得費と譲渡費用を差し引いて計算します。
相続した不動産では、原則として被相続人がその不動産を取得した際の購入代金などを基に取得費を計算するため、購入時の売買契約書や領収書などが残っているか確認しておくことも重要です。
「いくらで売れるか」だけではなく、「持ち続けるといくらかかるか」「売却すると最終的にいくら残るか」という視点で比較することで、売却するか保有するかをより具体的に判断しやすくなります。
■老朽化した実家は解体して土地として売却・活用する方法もある
相続した実家の老朽化が進んでいる場合には、建物をそのまま売却したり賃貸したりするだけでなく、建物を解体して土地として売却・活用する方法もあります。
雨漏りや外壁・屋根の劣化、設備の故障などが多く、大規模な修繕が必要な住宅では、費用をかけて建物を維持するよりも、解体した方が売却や土地活用を進めやすい場合があります。
ただし、老朽化しているからといって、すぐに解体することが最適とは限りません。
建物が残っている状態で購入したい人が見つかる場合や、中古住宅としてリフォーム・リノベーションできる場合もあります。また、古い戸建住宅でも、建物の状態や間取り、立地によっては賃貸住宅やその他の用途として活用できる可能性があります。
そのため、解体を決める前に、「建物付きのまま売却した場合」「解体して土地として売却した場合」「修繕して賃貸・活用した場合」のそれぞれについて、必要な費用と見込める収入や売却価格を比較することが大切です。
また、建物を解体すると、土地に適用されていた固定資産税などの住宅用地特例が適用されなくなり、土地の税負担が増える場合があります。そのため、解体費用だけでなく、解体後の固定資産税への影響や売却までにかかる期間も考慮して判断する必要があります。
さらに、建物を解体する際には、自治体によって空き家の除却・解体費用に対する補助制度を設けている場合があります。利用できる制度や対象条件は自治体によって異なるため、解体を検討する際には物件所在地の自治体に確認してみるとよいでしょう。
相続した実家の解体は、「古いから壊す」と単純に決めるのではなく、建物の状態や市場価値、解体費用、税負担、売却・活用の可能性を確認したうえで判断することが重要です。
■相続空き家の3,000万円特別控除を確認する
相続した実家を売却する際には、「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の3,000万円特別控除」を利用できる場合があります。
これは、相続または遺贈によって取得した一定の空き家やその敷地を売却し、所定の要件を満たした場合に、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除できる制度です。
ただし、相続した空き家であれば、すべてこの特例を利用できるわけではありません。
対象となる家屋は、原則として1981年(昭和56年)5月31日以前に建築されたこと、区分所有建物ではないこと、相続開始の直前に被相続人以外に居住していた人がいなかったことなど、複数の要件があります。
なお、被相続人が相続開始の直前まで老人ホームなどに入所していた場合でも、一定の要件を満たせば特例の対象となることがあります。
また、相続してから売却するまでの間に、その家屋や敷地を事業、賃貸、居住などに使用していないことや、売却代金が1億円以下であることなども主な要件となります。
売却時期にも期限があり、原則として相続開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却する必要があります。
さらに、2024年1月1日以後の譲渡については、売却後、譲渡した年の翌年2月15日までに買主が耐震改修または建物の取り壊しを行った場合でも、一定の要件を満たせば特例を適用できるようになっています。
控除額は原則として最高3,000万円ですが、2024年1月1日以後の譲渡で、その家屋や敷地を取得した相続人が3人以上いる場合には、1人あたりの控除限度額は最高2,000万円となります。
そのため、「相続した実家を売却すれば3,000万円まで税金がかからない」と考えるのは適切ではありません。実際には、まず譲渡所得を計算したうえで、特例の適用要件を満たす場合に、その譲渡所得から一定額を控除する仕組みです。
相続した実家を売却する可能性がある場合には、売却後に確認するのではなく、売却前の段階で特例を利用できる可能性があるか確認しておくことが重要です。
制度の適用期限や要件は変更される可能性があるため、実際に売却する際には国税庁の最新情報を確認し、必要に応じて税理士などの専門家に相談しましょう。
| 項目 | 主な内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 売却が向いているケース | 居住予定がない・維持管理の負担が大きい | 家族や相続人の意向を確認する |
| 査定価格と維持費の比較 | 売却想定価格と今後の維持費を比較する | 売却諸費用や税金も考慮する |
| 解体して売却・活用 | 老朽化した建物を解体し土地として利用する | 解体費用・税負担・建物の活用可能性を比較する |
| 3,000万円特別控除 | 一定の要件を満たす相続空き家が対象 | 適用要件や期限を最新情報で確認する |
相続した空き家を賃貸・空き家活用する場合の判断基準
相続した空き家を賃貸に出すかどうかを考える際には、まず建物の立地と周辺の人口動向を確認することが大切です。
国土交通省の公表資料でも、人口が減少している地域では空き家率が高まり、賃貸需要も弱くなる傾向が示されています。
あわせて、建物の築年数や耐震性、設備の老朽化状況を確認し、賃貸に出すために必要な修繕の有無を見極めます。
さらに、賃料相場と空室リスクを比較し、年間収入と維持費用が釣り合うかどうかを冷静に試算することが重要です。
一般的な賃貸住宅として需要が弱い場合でも、それだけで活用が難しいと判断する必要はありません。
高齢者や障がい者、生活保護受給者など、住宅の確保に配慮が必要な方の住まいとして活用できる可能性もあります。
また、建物の規模や間取り、立地、法令上の条件などによっては、福祉事業者などへの賃貸を検討できるケースもあります。
一般的な賃貸市場だけで判断するのではなく、地域の住宅需要や建物の特徴に応じて、どのような活用方法があるのかを幅広く検討することも大切です。

■相続した空き家の活用方法を比較する
相続した実家を活用する方法は、一般的な賃貸住宅として貸し出すだけではありません。
戸建住宅であれば一戸建ての賃貸住宅として活用する方法があるほか、建物の状態や立地、地域のニーズによっては、高齢者や障がい者など住宅の確保に配慮が必要な方への賃貸も選択肢になります。
また、一定の要件を満たす住宅については、住宅セーフティネット制度を活用する方法もあります。建物の規模や間取り、用途、法令上の条件などが合えば、福祉事業者などに建物を賃貸して活用できるケースもあります。
一方で、必ず収益化する必要があるわけではありません。将来自分や家族が住む予定がある場合には自宅として保有する方法もあり、維持管理や修繕の負担が大きい場合には売却することも選択肢の1つです。
相続した実家をどうするか考える際には、最初から「売る」「普通の賃貸住宅として貸す」と決めるのではなく、建物の特徴や地域の需要、必要となる改修費、将来の利用予定などを踏まえて、それぞれの方法を比較することが大切です。
| 活用方法 | 向いているケース | 主なポイント |
|---|---|---|
| 一般的な戸建賃貸 | ファミリー層など一般の賃貸需要が見込める | 賃料相場・空室リスク・修繕費を確認する |
| 高齢者・障がい者等への賃貸 | 地域に住宅確保のニーズがある | 入居支援や見守りなどの支援体制も確認する |
| セーフティネット住宅としての活用 | 制度の要件を満たす住宅 | 登録要件や制度の最新情報を確認する |
| 福祉事業者等への賃貸 | 建物の規模・間取り・立地などが事業用途に適している | 建築・消防・福祉関係の基準などを事前に確認する |
| 自宅・親族利用 | 将来自分や家族が利用する予定がある | 利用までの維持費と管理方法を決めておく |
| 売却 | 利用予定がなく維持管理の負担が大きい | 査定価格・売却費用・税金などを確認する |
一方で、すぐに売却せず、自分や家族で使いながら空き家を活用する方法も選択肢の1つです。
総務省の住宅・土地統計調査では、別荘やセカンドハウスとして利用されている住宅も空き家の一類型として整理されており、二拠点居住や週末利用といった暮らし方も広がっています。
また、住宅宿泊事業などの民泊活用は、条例や安全基準の遵守が前提となりますが、家族の利用が少ない期間を活用して収入を得られる可能性があります。
このように、自分たちの生活スタイルや将来の居住予定を踏まえて、「収益重視」なのか「自家利用重視」なのかの軸を明確にすることが大切です。
賃貸や各種の活用方法を選ぶ場合は、継続的な管理体制と修繕費用への備えが欠かせません。
国土交通省の空き家対策関連資料では、適切な点検や修繕が行われない住宅は老朽化が進み、倒壊や外壁落下などの危険性が高まるとされており、賃貸中であっても所有者の管理責任は免れません。
屋根や外壁、給排水設備などの修繕・リフォーム費用は、築年数や構造によって金額や頻度が大きく異なるため、長期的な修繕計画を立て、収入からどの程度を修繕積立として確保するかを考える必要があります。
また、賃貸借契約の管理や賃料の入出金、トラブル対応を自ら行うのか、専門家に委ねるのかといった体制も事前に決めておくことで、無理のない運用につながります。
| 判断項目 | 確認のポイント | 注意すべき点 |
|---|---|---|
| 立地・需要 | 人口動向と賃貸ニーズ | 長期空室リスク |
| 建物状態 | 老朽化と耐震性 | 多額の修繕費用 |
| 活用方法 | 自家利用と収益性 | 管理負担と法令順守 |
相続した家をそのまま保有・管理する場合のポイントと将来設計
相続した家を将来自分や親族が利用する予定がある場合、すぐに売却せず保有を続ける選択も有力な候補になります。
ただし、使うまでの間は空き家として放置せず、計画的に管理することが重要です。
国土交通省は、空き家は放置期間が長くなるほど老朽化が進み、売却や賃貸が難しくなると示しており、早い段階からの方針決定と管理が欠かせません。
今後居住する予定の時期や家族構成の見通しを整理し、保有期間の管理体制や費用負担の分担まで含めて検討しておくことが大切です。
空き家を適切に管理しないまま放置すると、「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づき「管理不全空家」や「特定空家」に該当するおそれがあります。
管理不全空家や特定空家と判断されると、市区町村による指導や勧告の対象となり、状況によっては固定資産税の住宅用地特例の対象から外れることもあります。
そのため、定期的な点検と清掃、庭木や雑草の手入れ、雨漏りや外壁のひび割れの早期補修など、日常的なメンテナンスを計画的に行うことが必要です。
あわせて、火災保険や地震保険が空き家の利用実態に合った内容になっているか、補償範囲や保険金額を定期的に見直しておくと安心です。
将来の売却や賃貸まで見据えた「出口戦略」を早めに考えておくことも、相続した家を保有するうえで欠かせない視点です。
国土交通省は、空き家の所有者が将来の売却や賃貸などの方針を家族と話し合い、住まいの終活として整理しておくことの重要性を示しています。
将来いつまでに誰が住むのか、住まない場合は売却と賃貸のどちらを優先するのかといった方向性を、相続人同士で早めに共有しておくと、判断が必要になった時の迷いを減らせます。
その際には、維持管理費用の負担方法や、建物の老朽化が進んだ場合の解体や大規模修繕の方針についても、具体的に話し合い、合意内容をメモなどの形で残しておくとトラブルの予防につながります。
| 保有時の基本方針 | 日常管理の主な内容 | 将来設計の検討事項 |
|---|---|---|
| 将来居住か売却かの整理 | 定期巡回と通風清掃 | 売却か賃貸かの優先順位 |
| 相続人間の費用分担決定 | 庭木剪定と雑草対策 | 修繕や解体の実施条件 |
| 管理責任者の明確化 | 雨漏り外壁劣化の点検 | 合意内容の書面での共有 |
相続した実家は売却・賃貸・保有のどれを選ぶ?
相続した実家をどうするかについて、すべての人に共通する正解があるわけではありません。
売却・賃貸や空き家活用・保有のどれが適しているかは、建物の状態や立地、売却価格、賃料相場、維持費、将来の利用予定などによって異なります。
判断に迷った場合は、まず「将来自分や家族が住む予定があるか」を考えてみましょう。
住む予定がなく、維持管理の負担を減らしたい場合には売却が有力な選択肢になります。一方、一定の賃貸需要があり、修繕費などを考慮しても収益が見込める場合には、賃貸住宅として活用する方法があります。
一般的な賃貸需要だけでなく、高齢者や障がい者など住宅の確保に配慮が必要な方への賃貸や、建物の条件によっては福祉事業者などへの賃貸を検討できる場合もあります。
将来自分や家族が利用する予定がある場合には、そのまま保有することも選択肢ですが、利用するまでの固定資産税や管理費、修繕費などを含めて判断することが大切です。
また、建物の老朽化が進み、修繕して利用することが現実的でない場合には、解体して土地として売却・活用する方法もあります。
大切なのは、「相続した実家だから残す」「誰も住まないから売る」と最初から決めてしまうのではなく、現在の不動産価値と今後必要となる費用、活用できる可能性を整理したうえで比較することです。

| 現在の状況 | 検討しやすい選択肢 |
|---|---|
| 今後、自分や家族が住む予定がない | 売却を中心に検討 |
| 維持費や管理の負担が大きい | 売却・解体を検討 |
| 一般的な賃貸需要が見込める | 戸建賃貸などを検討 |
| 住宅確保のニーズがある地域 | 高齢者・障がい者等への賃貸も検討 |
| 建物が福祉事業などに適している | 福祉事業者等への賃貸も検討 |
| 将来自分や家族が利用する予定がある | 保有を検討 |
| 建物の老朽化が著しく活用が難しい | 解体後の土地売却・活用も検討 |
ただし、実際の判断では複数の条件が重なるため、一つの項目だけで決めるのではなく、売却価格や賃料相場、改修費、維持費などを具体的に比較することが重要です。
相続した実家・空き家についてよくある質問
ここでは、相続した実家や空き家についてよくある質問を紹介します。
Q.相続した実家に住む予定がない場合は、すぐ売却した方がいい?
住む予定がないからといって、必ずしもすぐに売却する必要はありません。
まずは実家の売却価格や賃料相場、建物の状態、今後必要となる維持費などを確認し、売却・賃貸・空き家活用・保有のどの方法が適しているか比較することが大切です。
一方、将来利用する予定がなく、固定資産税や管理、修繕などの負担だけが続いている場合には、早めに売却を検討することも選択肢になります。
Q.相続した実家を売却すると税金はいくらかかる?
相続した実家を売却したからといって、売却代金の全額に税金がかかるわけではありません。
土地や建物を売却して利益が生じた場合には、原則として譲渡所得に対して所得税や住民税などがかかります。譲渡所得は、売却金額から取得費や譲渡費用などを差し引いて計算します。
また、相続した不動産では、原則として被相続人の取得時期を引き継いで所有期間を判定します。
一定の要件を満たす相続空き家については、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例を利用できる場合もあります。
実際の税額は取得費や売却価格、所有期間、利用できる特例などによって異なるため、個別に確認する必要があります。
Q.相続した実家を賃貸に出すことはできる?
相続した実家を賃貸住宅として活用することは可能です。
ただし、建物の状態や立地、周辺の賃料相場、賃貸需要、必要となる修繕費などを確認し、収支が見込めるか検討する必要があります。
一般的な賃貸住宅としての需要だけでなく、高齢者や障がい者など住宅の確保に配慮が必要な方の住まいとして活用できる場合や、建物の条件によっては福祉事業者などへの賃貸を検討できる場合もあります。
売却するか迷っている場合には、売却査定だけでなく、賃貸やその他の空き家活用が可能かどうかも併せて確認するとよいでしょう。
Q.相続した空き家を放置すると固定資産税は上がる?
空き家になっただけで、直ちに固定資産税が上がるわけではありません。
ただし、適切に管理されていない空き家が「管理不全空家」や「特定空家」とされ、市区町村から勧告を受けると、その敷地が固定資産税などの住宅用地特例の対象から外れることがあります。
その結果、土地の固定資産税などの負担が増える可能性があります。
「空き家を放置すると固定資産税が必ず6倍になる」という意味ではありません。税額への影響は土地の面積や評価額などによって異なるため、空き家を長期間保有する場合には適切な管理を続けることが重要です。
Q.いらない実家なら相続放棄できる?
相続放棄をすることはできますが、「実家だけを相続放棄する」ということはできません。
相続放棄をすると、原則として預貯金や不動産などを含め、その相続について相続人としての権利や義務を一括して放棄することになります。
また、相続放棄には原則として、自分のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内という期限があります。
そのため、「実家はいらないが、預貯金は相続したい」といった理由で実家だけを相続放棄することはできません。相続放棄を検討する場合には、相続財産全体を確認したうえで判断することが重要です。
Q.売れない土地は相続土地国庫帰属制度を利用できる?
相続などによって取得した土地については、一定の要件を満たせば「相続土地国庫帰属制度」を利用して、土地を国に引き渡せる場合があります。
ただし、相続した土地であれば、どのような土地でも国が引き取ってくれるわけではありません。
例えば、建物がある土地や、担保権などが設定されている土地、境界が明らかでない土地、土壌汚染がある土地などは、申請できない場合があります。また、通常の管理や処分に過分の費用や労力が必要となる土地についても、承認されない場合があります。
審査を経て国庫への帰属が承認された場合には、原則として一定の負担金を納付する必要があります。
そのため、「売れないから国に返せばよい」という制度ではありません。売却や土地活用などの可能性も確認したうえで、他の方法で手放すことが難しい場合の選択肢の一つとして検討するとよいでしょう。

まとめ
相続した実家や空き家をどうするかは「感情」と「お金」と「将来計画」を整理して考えることが大切です。
売却・賃貸・自分での活用のどれを選ぶ場合でも、名義や税金、管理コスト、空き家リスクを早めに確認しておくことで、後悔の少ない判断につながります。
「売却するしかない」と決める前に、賃貸住宅として使えるのか、住宅確保要配慮者向けの住まいとして活用できるのかなど、建物や地域に合った方法を検討することも大切です。
当社では、相続した家の現状整理から売却・賃貸・活用の比較検討、将来の出口戦略まで、まとめてご相談いただけます。
「相続した実家をどうするか」でお悩みの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。
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